位置情報の技術は、近年、長足の進歩を遂げました。特に、GPSとGIS(地理情報システム)の出現は、これまでの測量や地図の世界を根底から変える可能性があります。これらの技術は、ここ数年で相当普及してきましたが、本格的な利用はむしろこれからで、両技術が融合されることにより近い将来爆発的に利用が進むものと予想されています。  GISでは、ものの位置をすべて座標値で表現します。 この場合、GISでは、コンピューターが扱いやすいように、それぞれのパイプの位置を座標値で表示しておきます。そして、2本のパイプの位置関係は、座標値から導き出すのです。このようにものの位置を座標値で表現した場合、座標値が正確でなければ、パイプ相互の位置関係を誤る恐れがあります。GISにはいろいろな種類があり、必ずしも高い精度を必要としないものもありますが、ライフライン等の施設管理用のGISでは数cmの精度が必要になります。また、ライフライン網は1つの都市だけで閉じていません。したがって、GISを用いて隣接する都市をまたがって支障無く施設管理を行うためには、広域にわたって高精度な位置情報が必要になるのです。  このことから、測地基準点成果がGISの基礎として使えるものであるためには、第一に、全国にわたって極めて高い精度を保持していることが必要であることが分かります。  これらのライフラインは、空港や港湾にも接続していることでしょう。航空機や船舶はGPSが利用され世界測地系に基づいて運行されることがほとんどですが、空港や港湾施設のGISにおいて、世界測地系で施設の位置を表示しなければ混乱を起こす原因となることも考えられます。  GISが普及すると、GISのネットワーク化、データの共有化・分散化がどんどん進みます。そうすると、初め国内のことだけを想定して作られたGISであっても、やがて国際的な関係がある他のGISと繋がりが発生して来る可能性が十分あります。  このことから、測地基準点成果がGISの基礎として使えるものであるためには、第二に、世界共通の座標系である世界測地系に基づいていることが必要であることが分かります。

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地理空間情報とは、空間上の特定の地点又は区域の位置を示す情報(位置情報)とそれに関連付けられた様々な事象に関する情報、もしくは位置情報のみからなる情報をいいます。地理空間情報には、地域における自然、災害、社会経済活動など特定のテーマについての状況を表現する土地利用図、地質図、ハザードマップ等の主題図、都市計画図、地形図、地名情報、台帳情報、統計情報、空中写真、衛星画像等の多様な情報があります。 地理空間情報は、その位置情報をキーにして異なるデータを重ね合わせることで、分析等の活用がなされることから、様々な主体によって整備されるデータ間で位置情報の整合がとれている必要があります。このためには、地理空間情報を空間上の位置に対応づけるための基準となる基盤地図情報の整備・更新・提供が必要です。 基盤地図情報とは、地理空間情報活用推進基本法第2条第3項において、「地理空間情報のうち、電子地図上における地理空間情報の位置を定めるための基準となる測量の基準点、海岸線、公共施設の境界線、行政区画その他の国土交通省令で定めるものの位置情報(国土交通省令で定める基準に適合するものに限る。)であって電磁的方式により記録されたもの」と定義された、電子的な地理空間情報である。地理空間情報の整備に基盤地図情報が活用されることにより、地理空間情報の相互活用が容易になります。